ペテロとヨハネが、生まれつき足のなえた男を癒す場面です。その男は、宮に入る人たちから施しを求めるために、毎日｢美しい門｣という名の宮に前に置いてもらっていました。ペテロとヨハネはこの人を見つめて言いました。｢私たちを見なさい！｣その男は何かもらえると思って、ふたりに目を注ぎました(5)。
　男は何をもらいたかったのでしょうか。金銀です。彼は、歩くことはすでに諦めていたようです。足は生まれつきなえていて、歩けなくて当然だと思っていました。とりあえず、金銀さえあれば、日々食べるものが買えて、住む場所や衣服にも困らない、もしかしたら、いつかは立派な家も建てて楽に生きられるようになるかもしれない、と考えていたかもしれません。それで、毎日、門の前で施しをしてくれそうな人を待っていました。残念ながらペテロとヨハネには金銀がありませんでした。また金銀はペテロが与えたいものでもありませんでした。ペテロには金銀よりはるかに良いものがありました。それは｢ナザレのイエス・キリスト｣でした。ペテロはこのイエス・キリストを彼にあげたかったのです。イエス様は救い主です。創造主です。ですからイエス・キリストの名を受け入れるなら、彼は起き上がって歩くことが出来るようになるわけです。起き上がって歩けるようになることは、美味しいものをたくさん食べることや、立派な家に住むことよりも、はるかに良いことです。そこでペテロは彼に言いました。｢金銀は私にはない。しかし、私にあるものを上げよう。ナザレのイエス・キリストの名によって、歩きなさい。｣
　起き上がって歩けるようになることで、ようやく男の人生の問題が解決されました。男は、金銀はもらえなかったけれど、イエス・キリストの名をもらいました。金銀が与えるものは得られなかったけれど、イエス・キリストが与えるものをもらうことが出来ました。それは、彼が願っていたものよりずっと良いもの、大きなものでした。彼はどれだけ喜び、感激したことでしょう(8)。私たちも、イエスキリストの名によって起き上がり、喜びと感謝で跳ねたり賛美したりする者となれるように祈ります。

適用 : 金銀を得ようとしますか

一言 : イエスキリストの名によって歩きなさい

　生まれつき足のなえた男が起き上がって歩くのを見た人々は、非常に驚きました。その人々はペテロとヨハネのところに集まってきて、ペテロとヨハネを不思議な目で見つめました(12)。ペテロはそんな彼らがイエス様に関心と期待を持つように助けています(16)。彼らみなが今すぐ起き上がって歩かなければならない問題を持っている訳ではありません。しかし、彼らは自分なりの病気や人生問題を持っています。彼らの心は、情欲に病み、劣等感に病み、敗北主義に病み、お金と利己心に病んでいます。そのような病に苦しみながらも、多くの人は、目先のものばかりを求めながら必死に生きようとしています。信仰のものを求めることよりも、この世の情欲を求め、優れていそうなものを求め、競争に勝ち残ることを求め、金持ちになることを求めます。しかし、すべて癒しが必要な者ばかりです。では、どうすればその病から癒されるのでしょうか。それは、イエス・キリストの御名に頼るのみです。主の御名を信じて、受け入れるとき、癒されることが出来ます。金銀は私たちを本当の問題から目をそらすようにさせますが、心の中では相変わらず苦しみ、絶望するしかありません。金銀は私たちの究極的な望みにはなれません。私たちの真の望みはイエス・キリストだけなのです。
イエス様は私たちに何を与えてくださるのでしょうか。｢そういうわけですから、あなたがたの罪をぬぐい去っていただくために、悔い改めて、神の前に立ち返りなさい｣(19)。ここに集まって来た人たちは、イエス様のおっしゃることを受け入れず、十字架につけて殺した人たちでした。彼らはさばかれても当然でした。しかし、そのような彼らでも悔い改めて、つまり方向転換してイエス様に目を向け、イエス様を信じるなら、すべての罪がぬぐい去られるのです。「神の前に立ち返る」ようにとペテロは言っていますが、「立ち返る」とは、出発点に戻る、引き返す、という意味です。私たちが、神様の御前にある恵みという出発点に戻る時、信仰が与えられ、強く、完全になります（16）。そして神様の恵みによって、新しく生まれ変わり、イエス様の証人となるのです。

適用 : 新しくなろうとしますか

一言 : 神さまの前に戻り、罪をぬぐいさっていただきなさい